3.1.3 比熱と熱容量

 同じ体積の異なる物質を同じ時間で、同じ強さで加熱すると、それぞれの物質の温度は異なります。

また、同じ物質でも重さが違うもの(体積が異なる)を同じ条件で加熱しても温度は異なります。ある

物質の温度を1K(1℃)高めるのに必要な熱を熱容量と言います。いろんな物質の熱と温度について

議論をする時に、ある時は50Kgのもの、別の時には1000Kgのものについて議論しても基準が違いこ

れでは困ります。

 ある物質1Kg に1K(1℃)の温度変化を与えるのに必要な熱量をその物質の比熱と定義します。

水の比熱は0℃において4218J/(K・kg)です。4218の代わりに4220と覚えていれば良いでしょ

う。

ここで、4218J/(K・Kg)の意味は、1Kgの水の温度を1K上げるには4218Jの熱が必要である

ということです。車の制限速度50キロと言いますが、速度を正確に書くと50Km/hで1時間あた

り50Km進むと言うことですね。分母は○○あたりを意味します。また、1K=Kを単位温度、

1Kg=Kgを単位質量と言います。大きさが1の時に単位(質量、体積、長さ、時間)と表わします。

これから先、いろんな単位が出て来ますが、このことは良く覚えていてください。

いま、水mKgを加熱して温度がtK(℃)上昇しました。水の比熱をaと表し、炎から水へ熱Qが 

移動したとします。

熱=比熱×質量×上昇温度 となります。

Q=a×m×t                                  (3.3)

です。     

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                   

図3.4 熱容量

 

                               

 ある物質1Kgが1K温度上昇したとき、(3.3)式は、m=1、K=1ですから、Q=a この時

に必要な熱が比熱です。1gの水を1℃上昇させるのに必要な熱を1カロリーと習った覚えがありますね。

1カロリーは1gの水の温度を1℃高めるのに必要な熱です。1カロリーは4.22ジュールに相当し

ます。

少し寄り道をします。熱の伝わり方は下の図のように伝導(分子の振動)、対流(物質の移動)、放射(電

磁波の放射)の3つがあります。

 

図3.5 熱の伝わり方




      図3.6 力とエネルギー

 

 

さりげなくJ(ジュール)という言葉を使いましたが、ジュールはエネルギーの単位です。熱はエネル

ギーなのです。ではエネルギーって何なのでしょう。

エネルギーはエネルギー=(力)×(距離)で定義されます。

3.6のように質量mKgの石をhメートル垂直に持ち上げたとします。この石に働く力を考えます。

3.2)式を思い出してください。力は質量×加速度でした。質量はmKgですが加速度は?。地球上の

物体に垂直に働く力に重力があります。この時の加速度は万有引力でおなじみの重力加速度gで、g=

9.81m/s=9.81ms−2です。気象では垂直とはいわずに鉛直と云い、地球の中心と物体を結んだ方向

です。

今の場合、エネルギーは

エネルギー=m(Kg)×g(ms−2)×h(m) =mgh(Kgm−2

になります。持ち上げられた石は大きさmghのエネルギーを持ったことになります。このmghを

置エネルギーと呼びます。また、鉛直方向へVの速度で落下している時には(mv)/2の運動エネル

ギーも持っています。この時、重力以外の力が働かなければ、

 

(位置エネルギー)+(運動エネルギー)=一定

      mgh + (mV)/2 =一定              (3.4)

になり、このことをエネルギー保存の法則と云います。

運動エネルギーの単位を考えてください。位置エネルギーの単位と同じはずです。